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当社は、限度時間を超える時間外労働について、割増賃金率を現在、25%としていますが、改正法によって割増賃金率を引上げなければなりませんか。
時間外労働の割増賃金率は、原則は現行の2割5分ですが、労基法改正で、@「限度時間を超えた時間外労働の割増賃金率を2割5分を超える率とする努力義務」が課された他、A「1ヵ月の時間外労働が60時間を超えた場合の割増賃金率を5割以上の率とする義務」が課されました。
Aの割増賃金率は法定の義務ですが、経営体力が必ずしも強くない中小企業では、時間外労働抑制のために、業務処理体制の見直しや新規雇入れ、省力化投資等の速やかな対応が困難とされていることから、当分の間、適用が猶予されています。
他方、@の割増賃金率は、Aとは異なり、努力義務であることから、そもそも限度時間の適用がない事業・業務を除き、中小企業にも適用されます。
貴社の場合、限度時間を超える時間外労働の割増賃金率を25%としているとのことで、改正労基法にいう2割5分を「超える」率とはなっていませんから、同法で規定される努力義務、なお課されているといえるでしょう。
とはいえ、2割5分を超えていないからといって、直ちに違法というわけではありません。特別条項付き三六協定の締結には、労使の合意が必要ですが、割増賃金率の協議が整わないために、協定自体の締結が危ぶまれる場合も考えられます。努力義務は労働者側にも課されていますが、組合として簡単に譲歩するわけにはいかないでしょうから、労使関係の安定している企業でも、当該交渉が難航することは予想されます。
このことから、限度時間を超える時間外労働の割増賃金率については努力義務であることを踏まえ、経営状況や労使の話し合いを踏まえて、引上げについて判断されればよいといえます。
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