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当社の就業規則は30年ほど前に作成したもので、この間に雇用形態は多様化してきました。そこで抜本的な改正にとりかかっているのですが、新しい就業規則では一部従業員は従来より低い労働条件が適用されることになりそうです。こうした就業規則でも、会社側で一方的に決めてよいのでしょうか。
労働者と合意することなく、就業規則の不利益変更はできません。ただし、「就業規則の変更が、労働者の受ける不利益変更の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事業に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする」と規定されています。
この合理性の基準について、「新たな就業規則の作成または変更によって、既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として許されないと解すべきであるが、労働条件の集合的処理、特にその統一的かつ画一的な決定を建前とする就業規則の性質からいって、当該規則条項が合理的なものである限り、個々の労働者において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒否することは許されない」とし、新たに労働者に不利
益な労働条件を一方的に課すような就業規則の作成または変更も合理的なものである限り認めています。
しかしながら、賃金、退職金など重要な労働条件に係る就業規則の変更について、何らの代償措置も講じない退職金の引下げを合理性なしとした他、「特に賃金、退職金などの労働者にとって重要な権利、労働条件に関し、実質的な不利益を及ぼす就業規則の作成または変更については、当該条項が、そのような不利益を労働者に法的に受忍させることを許容できるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものである場合において、その効力を生ずるものとい
うべきである」としている。
したがって、既得の権利を奪い、または不利益な労働条件を課すこととなる一方的な変更は原則としては許されず、このような変更を行おうとするときには、労働者の同意を得るよう努めなければならないということになるでしょう。
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