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コラム

個人請負でも労災保険を受けられるか?

 当社は、介護サービス事業を実施していますが、慢性的な人材不足のため、業務委託を活用することになりました。訪問介護要員として有資格者が見つかり、個人請負としての契約が内定したのですが、本人は業務中にケガをしたときなどの補償を心配しています。
 個人請負でも労災保険に加入できる場合があるそうですが、今回のケースはいかがでしょうか。

職種限定の特別加入があります

 労災保険には、職種限定で労働者以外が任意に加入できる特別加入制度があり、介護業務を行う者はこれが利用できます。加入は、発注する会社ではなく、個人が同業者団体等を通じて行い、保険料も個人が負担します。個人請負では被災後に、災害補償を巡ってトラブルになる事例が散見されますから、特別加入を契約要件に加えることをお勧めします。

 労災保険は、労働者の災害に対して保険給付を行う制度で、経営者や個人事業主には適用されません。しかし、労働者以外でも、労働者と同じように作業したり、現場作業を主とするケースも多く、災害の発生状況などから、労働者に準じた保護が適当と認められる一部の事業等について、特別に任意加入を認めています。

 特別加入できるのは、(1)中小企業事業とその家族従事者、(2)一人親方およびその他自営業者等、(3)特定作業従事者、(4)海外派遣者等です。
 (2)と(3)については、職種が限定され、介護作業は(3)の特定作業事業者の一つに指定されています。

 保険料率は、職種ごとに定められていて、介護作業は現在7/1000です。
 保険料は、給付基礎日額に応じた金額となります。給付基礎日額は、2万円から3500円まで13区分で、特別加入者の申請に基づいて、都道府県労働局長が承認します。日額の変更も可能ですが、当然ながら災害発生後の申請は認められません。

 特別加入者が被災した場合、労働者とほぼ同等の給付が受けられますが、すべての災害が対象となるわけでなく、職種に応じて一定の業務を行っていた場合に限られます。また、個人貨物自動車運転業者、家内労働者については、通勤災害は保険給付の対象にならない点にも注意が必要です。

 介護作業では、「介護労働者法第2条第1項に規定する介護関係業務に係る作業であって、入浴、排せつ、食事等の介護、その他の日常生活の世話、機能訓練、看護に係る作業、およびこれに直接附帯する行為」中の災害が対象になります。

 個人請負業者は、雇用する労働者ではありませんから、貴社が加入手続きをすることはできません。特別加入者自身が、同業者団体や経営者団体に加入し、その団体が申請するかたちになります。
 仮に、貴社の業務中に被災したとき、保険給付の請求も同じく、加入した団体を通じて行います。


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