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当社では、高齢者を活用していますが、加齢によるものなのか、業務効率が下がり、会社への貢献度が低下していると見受けられる従業員がおります。職能資格制度を導入していますが、降格の規定はありません。このような場合でも降格をしたり、賃金を切り下げることは可能でしょうか。
降格とは、役職や職位、資格を引き下げる措置ですが、制度上で賃金の低下と連動している場合が多いです。賃金の切り下げには、次のケースが挙げられます。
(1) 職能資格制度による資格の引下げ
(2) 懲戒処分として行われるもの
(3) 人事上の措置として行われる役職の引下げ
(4) 配置転換による職務内容の変更に伴うもの
ご質問のケースでは、職能資格制度を導入されているようですので、(1)の職能資格制度による資格の引下げに当たると見受けられますが、この場合は原則的に降格の根拠となる規定が必要です。また、規定があったとしても、人事権の濫用となる場合には、降格の措置が無効となることもありますので、注意しなくてはならないでしょう。人事権の濫用となるか否かは、次のポイントを総合的に判断します。
a)企業側の業務上・組織上の必要性
b)従業員側の能力の欠如などの帰属性
c)従業員の受ける不利益の程度
d)当該企業における昇進や降格の運用状況
降格の規定がない場合は、当該従業員の同意を得て降格を行うことが考えられますが、これも同意の強要とならないように注意が必要です。
(2)の懲戒処分として行われるものについても、原則的に懲戒の根拠となる規定があり、懲戒権の濫用に当たらないことが要件となります。
(3)の人事上の措置として行われる役職の引下げについては、根拠となる規定がなくても、企業の経営上の裁量とみなされる場合もあります。ただし、これも人事権の濫用とならないことが必要です。
(4)の配置転換による職務内容の変更に伴うものについては、配置転換には企業の裁量が認められているものの、これが直ちに賃金引下げの根拠となるものではありません。そのため、配置転換による職務内容の変更と賃金の切下げは切り離して考えることが必要です。
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