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コラム

就業規則の規定によって従業員の賃金を引き下げることはできますか?2012.01.17

就業規則の規定によって従業員の賃金を引き下げることはできますか?できるとすれば、どのような規定が必要なのでしょうか。また、引下げのために必要な手続きはありますか?

賃金を引き下げる旨を明確に規定し、十分に説明しましょう

賃金引下げの規定は、賃金を引き下げる場合があること、その要件、手続き事項について明確に定められている必要があります。就業規則に定められた要件、手続きを充足しない賃金引下げは就業規則違反として無効となります。

賃金引下げには、就業規則の賃金規定を改定して、一斉に賃金を引き下げる方法があります。これは就業規則の不利益変更の問題があり、他方で、すでにある就業規則上の規定を根拠に賃金を引き下げる場合があります。

この点、賃金は、もっとも重要な労働条件であり、その引下げは契約内容の変更を意味するため、使用者が一方的に行うことは許されず、労働者の個別の同意または就業規則上の明確な根拠規定が必要となります。たとえば、「昇給水準に達しないものは昇給しない」という規定では賃金引下げの根拠規定にはならないため、「賃金を引き下げることができる」と明確に規定する必要があります。

また、就業規則には賃金減額事由を明確に定めていることが必要とされます。たとえば、就業規則上に年齢を理由とする賃金減額規定があったとしても、経営上の理由による賃金減額の規定がなければ、経営上の理由による賃金減額は許されません。

そして、就業規則に定められた減額事由と実際の減額幅は合理的なものでなければなりません。

合理性の判断に際しては、減額によって労働者が被る不利益の程度、労働者の労力や勤務状況等の労働者側の帰責性の程度、それに対する使用者側の適切な評価の有無、使用者の経営状況等業務上の必要性の有無、代償措置の有無等が考慮されます。

さらに、使用者は上記の情報を労働者に十分に説明し、意見を聴取するなど交渉を尽くす必要があります。適正手続の遵守のためには、就業規則に説明等の手続規定を定めておくとよいですが、その場合、手続規定を遵守しなければ減額が無効と判断されることに注意する必要があります。


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