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今年は競争ではなく「共創」社会に

新しい年が始まりました。昨年の東日本大震災以降、日本にとって「再生」が重要なテーマとなっています。自然災害による被害を最小限に抑えるための対策をどうするかという点ももちろんですが、家族や知人との人間関係や仕事、地域との関わりなど、一人ひとりが何を大切にし、どのように生きるのかという点を含めて、今一度立ち止まって考えてみる必要があるのだと思います。

このような社会環境における企業のあり方を考えてみると、「競合他社に対してどのように差別化し、競争優位を構築するか」という従来の競争戦略のフレームでは対応できない部分が大きくなっている気がします。

競合他社との競争という視点にとらわれると、単に競合する商品やサービスのレベルを少し上回るだけの「どんぐりの背比べ」のような状態に陥りやすくなるためです。

そうした企業間競争の結果生まれる、似たような商品・サービスには、顧客はそれほど関心を持っていません。

顧客は、自分達のライフスタイルを一変させてくれるようなものや、これまで困っていたことを解決してくれるようなものを望んでいます。分かりやすい例としては、iPhoneやヒートテックが挙げられます。

「なんだ、一部の大企業の話じゃないか」と思うかもしれませんが、そうではありません。中小・零細企業であっても、身近な顧客が抱える不満や、業界内の非合理的な商慣行など、改革のヒントになるものは必ず存在するはずです。

競合他社との競争よりも、顧客や社会に対して真剣に目を向ければ、これまでの価値観を変えるような商品・サービスを生み出すことは可能なのです。

そして、個々の企業が特定分野におけるリーディングカンパニーとなれば、多種多様な商品・サービスが生まれます。そのことが、人々の価値観やライフスタイルを変え、結果として一人ひとりが今まで以上に暮らしやすい社会へと変容していくことができるのだと思います。

企業にとって、特に今年の1年は、競合他社との競争ではなく、他社と共に新しい社会を創っていく「共創」とでも言うべき活動を行っていくべきだと思います。

「共創」といっても、数社が平等な関係で寄り集まって何か1つの商品やサービス、ビジネスモデルを創っていこうというニュアンスとは異なります。平等な関係だと連携はしやすい一方で、責任や権限が不明確になってなかなか物事が決まらない状態に陥る可能性が高いからです。

したがって、発売やサービス開始に至るまでに必要な様々な意思決定は、あくまで個々の企業が自らの責任で行う必要があります。

こうして各企業がそれぞれの得意分野で、どんなに小さなことでもいいから創造性を発揮していくことが、社会全体の活性化につながるのだと思います。

とはいえ、具体例がないとイメージがつかないと思いますので、手前味噌ではありますが、当社(社会保険労務士事務所トリプルウィン)の取り組みを紹介いたします。

当社では、昨年後半から、発生した手続き業務に応じて月々の顧問料金が変動する「従量制社会保険・労働保険手続きサービス」という、業界で例を見ないサービスを開始しました。

社会保険・労働保険の手続きは、社員を1名でも雇用する企業にとっては避けることのできないものです。しかし、手続き自体は付加価値を生まないうえに煩雑なため、できるだけアウトソーシングすべき作業だと思います。

そのアウトソーシング先が社会保険労務士事務所なのですが、その顧問料はたとえ手続き業務が全く発生しなくても毎月一定額というのが、業界の慣習となっています。

顧問料は単なる手続きだけではなく労務管理に関する相談料も含めた金額になっていることや、毎月変動する手続き業務のボリュームを平均化して毎月一定の顧問料を決定していることがその理由として挙げられるのですが、一方で利用企業からすると、何にどれくらいの費用がかかっているのかが見えにくい形になっています。

また、顧問料の多くは従業員数に応じて決められていることがほとんどなのですが、従業員数が同じでも、離職率が高くて頻繁に入社退社が発生する企業と、定着率が高い企業では、発生する手続き業務のボリュームに差があります。

そのため、定着率が高く、労務管理の問題もあまりない企業にとっては、社会保険労務士事務所に支払う費用が高すぎると感じることが多いのではないかと思うのです。

そこで、何にどれくらいの費用がかかったのかを毎月費用を見えるようにし、社会保険労務士事務所に支払う費用対効果に納得のうえ、利用して頂くために、従量制という形を採用したのです。

別に特別なことではないのですが、これまでの業界の慣習を打破することで、当サービスを利用して頂く企業にとっては社会保険労務士事務所に支払う無駄な費用を抑えつつ、本来の事業活動に専念しやすい環境づくりに貢献できるのではないかと考えています。

諸先輩からは採算面を心配されることも多いのですが、手続き関連の情報システム化や、電子申請の採用など、徹底的な業務効率アップを図ることで解決できる課題だと考えています。

また、仮に他の社会保険労務士事務所が同様のサービスを開始するようになれば、当社だけでサービス展開するよりも多くの企業がメリットを享受できるようになるはずですので、他の事務所もどんどん同様のサービスを提供して頂ければと思っています。

以上、社会保険労務士業界という非常に狭い分野における当社の取り組みをご紹介させて頂きました。どんなに些細なことでもいいので、各企業それぞれの得意分野において、これまでに存在しない商品やサービス、ビジネスモデルを生み出していくことが、日本全体の活性化につながっていくはずです。

今年は競争ではなく、「共創」によって、日本が再生する年になることを願っています。

社会保険労務士事務所トリプルウィン

代表 樋野 昌法


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