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値上げしなければ中小企業は滅びる

タイトルにある「値上げ」とは、単に今までの商品・サービスの単価を上げるということではありません。言うまでもなく、今日のデフレ経済下では、そんなことは不可能です。

しかし、新商品・新サービスを提供すれば、新たな単価をつけることができます。

タイトルの「値上げ」とは、新商品・新サービスを提供することで、既存の商品・サービスよりも高い利益率となる単価で提供するということです。

「それができれば苦労しないよ」という声が聞こえてきそうですが、そんなことを言っていては数年後に企業はつぶれてしまいます。

今、社長が最も考えなければならないのは、「いかに自社の商品・サービスを『値上げ』するか」です。

もともと商品については、時間が経つにつれて値段が下がっていくのが当たり前でした。それに対し、サービスは比較的値段が下がりにくかったのですが、今ではデフレ等の影響で、サービスも値段が下がる傾向にあります。

しかし、値段を下げることは、たとえ短期的に売上増の効果があったとしても、中長期的には企業の体力を奪っていきます。

この不況下でも仕事が次々と来る会社はあります。仕事があるということは素晴らしいことです。ただし、仕事が次々と来る一番の理由が、「他社よりも値段が安い」ことであれば、目先の売上はなんとか維持できても、近いうちに破綻することが目に見えています。

例えば、安い単価で次々と仕事を請けて「いや〜、この不況下でも仕事が来てありがたいよ」と言っている社長の下で、連日深夜まで残業を強いられている社員には、いつ爆発してもおかしくないほどの不満が蓄積していっているのです。

百歩譲って、連日残業でも賃金がそれに見合っていれば、まだ不満は抑えられるかもしれません。しかし、安い単価で請けるということは、社員にも安い賃金で働いてもらわざるを得ないのです。そのため、低賃金・長時間労働が固定化し、社員が疲弊していくことになります。

そういう「無理をしている」企業が、長く続くわけはありません。もはや、ビジネスモデルが破綻しているといえます。

既存商品・サービスの値下げをして成功するのは、安く大量に生産できる大企業のみです。しかもその大企業のうちでも、ごく一部しか成功しません。

それなのに、下請企業をはじめとして、低価格競争に陥っている企業がいかに多いかを、最近痛切に感じます。

これでは日本経済が活気を失っていくはずです。

日本の99.7%を占める中小企業が儲からなければ、日本は元気になりません。

中小企業が儲かるためには、常に新商品・新サービスを提供し、高く売ろうということを考える必要があると思います。

一方で、高く売るのはなかなか難しいという面もあります。

そういった状況における解決策の1つとして、たとえば「商品・サービスの提供単位を細分化することで、安価に提供しつつ十分な利益率を確保する」ということが挙げられます。

詳細は今後セミナー等でお伝えしていきますが、例えばIKEAの家具をイメージして頂ければと思います。

家具販売は、商品の配送や倉庫からのピッキング、組立、配送伝票の準備など、家具としての原価以外に様々なコストが発生しています。IKEAはそれを細分化して、配送やピッキング等の作業は顧客にやってもらっています。

顧客はIKEAの家具は安いと思っていますが、商品の配送やピッキング、組立などのサービスを付けたら、実は結構な値段になるのです。

同じようなことが、床屋のQBハウスや、生命保険のライフネットにも当てはまります。

このように「商品・サービスの提供単位を細分化する」という視点は、いろいろな業界で応用できるのです。

こうした視点だけに限らず、とにかく新商品・新サービスを生み出し、既存の商品・サービスよりも高い利益率となる単価で提供することはできないかを常に考えていくことが、中小企業が生き残る道だと考えています。

社会保険労務士事務所トリプルウィン

代表 樋野 昌法


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