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コラム

人事制度構築コンサルティング

これからは仕事の内容で基本給を決める時代

皆様の会社では、社員の基本給をどのように決めていますか?

平成24年就労条件総合調査結果によると、基本給の決定要素は、管理職では「職務・職種など仕事の内容」が72.5%(前回平成21年77.1%)で最も高く、「職務遂行能力」が70.7%(同68.5%)、「学歴、年齢・勤続年数など」が48.6%(同57.8%)と続いています。

管理職以外では、「職務遂行能力」が68.7%(同67.5%)で最も高く、「職務・職種など仕事の内容」が68.2%(同71.8%)、「学歴、年齢・勤続年数など」が61.3%(同65.5%)となっています。

http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/12/gaiyou03.html

この結果から、多くの企業は、基本給を、「職務・職種など仕事の内容」や「職務遂行能力」、「学歴、年齢・勤続年数など」といった様々な要素を「総合的に」勘案して決めていることが分かります。

実は、この「総合的に」勘案して基本給を決めていることが、多くの企業に人事管理上の問題をもたらしているのです。

その問題とは、「ベテラン社員の中に、そこそこ高い基本給を貰っているにもかかわらず、それに見合った働きをしていない人がいる」というものです。

具体的には、20〜30年と勤続年数を重ねるうちに等級が上がって、管理職に相当する等級になったものの、管理職のポストがなかったり、管理職としての適性がなかったりするために、結果として入社数年程度の若手社員と同等の仕事しかしていないという社員がいる状態です。

そのような状態に陥っていると、若手社員は、「自分と同じ(もしくはもっと低い)レベルの仕事しかやっていないのに、あの人はなんで給料が高いのか」という不満を抱えることになります。

そのような若手社員に対して、終身雇用を前提とした時代では「あなたもあの人と同じくらいの年齢になったときは同じくらいの給料、あるいは頑張ればもっと多くの給料がもらえるから、もう少し長い目で見るように」と言うことができました。

しかし、何十年も同じ企業で働くことが当たり前ではなくなった現在では、こうした理屈は通用しなくなりました。

働きぶりと賃金(基本給)水準の間のギャップは、少なくとも数年間のうちに解消されるようになっていなければ、優秀な社員は辞めてしまいます。

そのため、優秀な社員をつなぎとめておくためには、働きぶり(職務・職種など仕事の内容)をもとに基本給を決める仕組みにしておく必要があるのです。

ところが、多くの企業がそうであるように、様々な要素を「総合的に」勘案して基本給を決める仕組みになってしまっていると、働きぶり(職務・職種など仕事の内容)がダイレクトに基本給に反映されません。

「職務遂行能力」や「学歴、年齢・勤続年数など」の要素が入ると、基本給は年功主義的な意味合いが強まります。

その結果、よほどのことがないかぎり基本給は下がらず、働きぶりと基本給にギャップが生まれてしまう可能性があるのです。

優秀な人材の流出を防ぐためには、基本給を決める際に様々な要素を「総合的に」勘案するのではなく、「職務・職種など仕事の内容」のみで(あるいはできるだけウエイトを高くして)判断するような仕組みに変えることが必要です。

究極的には、部長の基本給、課長の基本給、開発プロジェクトリーダーの基本給、新規開拓営業の基本給、ルートセールスの基本給などをあらかじめ定めておき、担当する職務・職種に応じて基本給が変わるようにするということです。

「じゃあ、いままで課長だった人が、課長から外れて、新規開拓営業をする一般社員の仕事に変わったら、基本給が下がってしまうの?」という疑問が生じると思います。

そのとおりです。基本給は下がるのです。

しかし、一般的には「基本給が下がる」ということに対して、非常に抵抗感のある方が多いはずです。

この抵抗感は、とても根強いもので、これを払拭できないために大胆な賃金制度改革ができない企業が多いのです。

課長という重責から外れたら、基本給が下がるのは当たり前だという認識を社員一人ひとりに根付かせるためには、「賃金は会社からもらうもの」ではなく、「賃金は社員間で分配しあうもの」というように、社員の賃金に対する認識を180度変えてもらう必要があります。

その方法については、あらためてご紹介できればと思います。

社会保険労務士事務所トリプルウィン

代表 樋野 昌法


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