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2012年4月6日に労働者派遣法改正法が公布されました。一部を除いて、半年以内に施行されます。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/roudou_haken0329.pdf
今回の改正で、労働者派遣に対する規制が強化されます。その目的は、派遣労働者の保護です。とはいいながら、現在派遣労働者として働いている人をそのまま派遣労働という身分で保護するというより、派遣労働者自体を減らして、直接雇用に移行させたいという意図が表れています。
現在、登録型の人材派遣会社だけでなく、ソフトウェア開発業界や、大企業のグループ企業間など、さまざまな企業で、労働者派遣が行われています。
そのため、今回の改正で影響を受ける企業は、相当多いはずです。御社でも、何らかの形で労働者派遣に関連があれば、今回の改正内容に注意しておいたほうがよいと思います。
以下に、今回の主な法改正の内容をご紹介します。
1.事業規制の強化について
【内容】
・日々又は30日以内の期間を定めて雇用する労働者派遣が原則的に禁止されました。
・派遣元事業主は、グループ企業など省令で定める「関係派遣先」に労働者派遣をするときは、関係派遣先への派遣割合が8割以下になるようにしなければならないことになりました。
・離職した労働者を離職後1年以内に派遣労働者として受け入れることが禁止されました。
【補足】
国としては、派遣労働者を減らして直接雇用につなげたいという考えの表れです。今回はぎりぎりのところで見送られましたが、登録型派遣や製造業務派遣も禁止されるところでした。引き続き検討されることになっていますが、もし今後この2つが禁止されたら、相当大きなインパクトになります。
2.派遣労働者の無期雇用化や待遇の改善について
【内容】
・派遣元事業主に、一定の有期雇用の派遣労働者につき、無期雇用への転換推進措置を図ることが努力義務化されました。
・派遣労働者の賃金等の決定にあたり、同種の業務に従事する派遣先の労働者との均衡を考慮することが努力義務化されました。
・派遣料金と派遣労働者の賃金の差額の派遣料金に占める割合(いわゆるマージン率)などの情報公開が義務化されました。
・雇入れ等の際に、派遣労働者に対して、一人当たりの派遣料金の額を明示することが義務化されました。
【補足】
驚くべきは、世間へのマージン率の公開と、労働者への派遣料金の明示が義務化されたことです。言葉は悪いですが、どれだけピンはねしているか、世間と労働者に公開しなさいということです。
以上が、半年以内に施行される主な内容になります。労働者派遣に関係する企業にとっては、厳しい内容です。
派遣労働者をはじめとする雇用状況の改善は、非常に重要だと思います。
しかし、今回の改正は、日本が目指さなければいけない方向と全く逆に向かっているのではないかと感じました。
今の日本に必要なのは、規制強化ではなく、むしろ規制緩和だと思うからです。
言うまでもなく、グローバル化の進展によって、ビジネスにおいて国境を越えることのハードルが非常に下がっています。
そのような状況においては、いかに企業が事業活動を行いやすい環境をつくって、国内の企業を育成し、また海外の企業を呼び込むかが、経済発展のカギを握っています。
雇用に関するルールはただでさえ企業に厳しいにもかかわらず、さらに規制を強化すると、企業は海外に出て行ってしまい、いっそう経済の停滞と雇用状況の悪化を招くだけだと思います。
経営者の皆様は、どのようにお感じになったでしょうか?
代表 樋野 昌法
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