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目標管理制度を導入していても、上手く運用できていない企業が多いのが現状です。うまく運用できていない原因の多くは、期首の目標設定の仕方に問題があります。
今回は、その中でも多い「目標が抽象的な表現になっているケース」をピックアップします。
目標管理制度で設定する目標は、「将来のある時点で、どのような状態になっているのか」を具体的に表すものでなければなりません。そのため、できるだけ数値化するのが望ましいわけです。
ところが、設定する目標が「顧客満足度の向上を図る」「業務効率化を推進する」などの抽象的な表現になりがちです。
このように抽象的な表現で目標を設定してしまうと、期末の人事評価の時点で適切に評価することができません。「顧客満足度が向上したかどうか」「業務が効率化したかどうか」を判断する基準が曖昧だからです。
多くの場合、被評価者は自己評価が高いので、「顧客満足度が向上した」「業務が効率化した」と思い込んでいる一方で、評価者は、会社や部門が求める水準には達していないという状況に陥りがちです。
そうなると、評価する方もされる方も、納得できる評価結果にはなりません。
結果として、目標管理制度は形式的に導入しているだけで、人事評価をする際はあくまで参考程度に留めて、最終的な評価は総合的な判断で決定するなどという運用になりがちです。それこそ、恣意的で透明性の低い運用になってしまいます。
目標管理制度をきちんと運用するためには、設定する目標を具体的な達成基準とともに表現するということが重要です。
以下に、目標設定の際に避けたほうがよい抽象的な表現の例を示します。
「効率化する」
「共有化する」
「明確化する」
「積極的に」
「迅速に」
「臨機応変に」
「極力」
「最大限」など
こうした表現を避け、できるだけ数値化することが重要です。数値化できない場合は、目標達成時の状況を詳しくイメージして、それを記述することです。
ただ、頭では分かってはいても、実際にやるとなると難しいものです。これには近道はなく、地道に練習を重ねるしかありません。
多くの大企業では、毎年目標設定研修を実施しています。研修で実際に目標を設定してみて、講師から指摘を受けることで、正しい目標設定の仕方に気付くようになります。
しかし、中小企業ではこうした研修を実施しているところは少ないのが現状です。
目標管理制度は、きちんと運用すれば人事評価の面だけでなく、経営面でも有用なものです。
正しい目標設定の仕方を社員の方が習得し、目標管理制度を運用できるようなお手伝いを今後も継続していきたいと考えています。
代表 樋野 昌法
((当社メルマガ2011年8月15日号コラム「士業のココロ」より転載))
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