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コラム

従業員の競業行為を避けるための予防策は?2012.05.07

従業員の在職中・退職後について、競業行為を避けるための有効な予防策はありますでしょうか?

就業規則の懲戒事由や退職後の誓約書などが考えられます

 在職中、従業員は労働契約上の誠実義務の一環として競業避止の義務を負っています。したがって、在職中の従業員に対しては、競業避止義務に関して、就業規則等の規定や個別の合意は必要ありませんが、従業員に対する抑止策として、兼職許可制や企業秘密の保持についての規定を設け、これに違反した場合懲戒処分を科すことが考えられます。また、競業行為が容易にできないように、顧客情報や技術情報の管理を厳格に行うことが必要です。

 退職後、従業員は職業選択の自由を有するため、当然に競業避止義務を負うわけではありません。従業員に対して、退職後も競業避止義務を負わせるには、個別の合意や就業規則上の根拠規定が必要となります。さらに、退職後の従業員の行為が競業避止義務違反に当たるのかについては、労働者の地位の高さ・職務内容、前使用者の正当な利益の保護を目的とすること、競業制限の対象職種・期間・地域から見て職業活動を不当に制限しないこと、代償の存否・内容の全ての要素を総合的に考慮して判断されます。

 そこで、退職後も競業避止義務を課そうとする従業員に対しては、これら全ての要素を満たした上で、従業員に周知・教育して退職後の競業行為を予防します。すなわち、従業員にどのような競業行為が禁止されているのかについて、従業員の地位の高さや職務内容に応じて説明します。また、会社の秘密情報の管理を厳格に行い、従業員に対し、秘密情報の範囲とその取扱いについて教育します。さらに、従業員と退職後の競業避止義務に関する誓約書を交わしたり、就業規則上に退職後の競業避止義務についての規定を設ける場合は、制限される職種・期間・地域について十分に説明します。そのうえで、従業員には、退職後の競業避止義務についての代償措置を行い、その趣旨を説明しておきます。

 この他に、競業避止義務に違反した場合の退職金不支給・返還規定を置くことによる予防も考えられます。

 また、退職に際しての引継ぎを適切に行うよう注意したり、退職後、一定期間内に同業他社に就職する場合は通知する旨の誓約書を提出させたりする等、退職の前後一定期間にわたり、顧客と退職者の情報を管理することも有効でしょう。


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