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企業経営にも活かせる橋下市長の視点2012.07.18

現在の政界に大きなインパクトを与えている大阪の橋下市長については、好きな人と嫌いな人にはっきりと分かれるのではないかと思います。

ただ、好き嫌いに関わらず、橋下市長が持つ視点は、企業経営にも大いに参考にすべきことがあります。

それは、組織の「カタチ」を非常に重視している点です。

橋下氏は大阪都構想を掲げ、実現の第一歩として、府知事と市長の両方を、自身が率いる大阪維新の会が押さえるためにダブル選挙を実施しました。さらに、大阪維新の会では国政への進出も視野に入れています。

何のためにそうやって勢力を拡大しようとしているかというと、国から都道府県、市区町村といった統治機構、つまり日本の行政組織の「カタチ」を変えなければ、日本が抱える様々な問題を根本的に解決することは不可能であり、組織の「カタチ」を変えるためには、大阪府や大阪市のレベルでは無理だからです。

ダメな組織は、役割および責任と権限の範囲が曖昧です。橋下氏が市長になる前の大阪市役所は、数百億円単位のお金をかけて、4館目の美術館を建設しようとしていました。

橋下氏がそれにストップをかけましたが、氏は美術館など要らないと言っていたわけではありません。

数100億円もかかる美術館を建てるのは、大阪市という基礎自治体がやるべきことではなく、新しい大阪都という広域行政体の行政施策としてやるべきだと言っています。

大阪では府と市の役割や責任範囲が曖昧なため、美術館だけでなく、多くの施設が大阪市立と大阪府立の2重になってしまっています。

この問題を根本的に解決するためには、「ムダをなくすために、新たな“ハコモノ”は作らず、教育や福祉に力を入れます!」などといった政策論のみを持ち出しても不十分です。

任期が終わって別の首長に代わったら“ハコモノ”行政に逆戻りしてしまう可能性があるからです。

根本的な解決には、大阪府と大阪市をあわせて組織の「カタチ」を再構築し、役割および責任と権限の範囲を明確化する必要があります。

たとえば、美術館を建てるのは大阪市ではなく大阪府の役割であると定めたとします。

そうすれば、誰が大阪市長になっても、もう数百億円の美術館を建てることはできなくなり、市議会で、美術館を建てるかどうかを議論する必要もなくなります。その分、基礎自治体としての行政サービスの充実にもっと予算が回せるようになります。

企業にも、全く同じことが当てはまります。

御社では、以下のようなことがありませんか?

・重複した業務を別々の部門が担当している。

・どの部門が担当するか決まっておらず、しばしば業務に抜けが生じている。

・問題が発生しても、誰(どの部門)の責任なのかが分からない。

・社長が指示をした内容がきちんと実行されないので、いつも同じ指示をしている。

・各部門はそれぞれ頑張っているのに、いつも経営目標を達成できない。

以上のどれかに当てはまる場合、組織の「カタチ」が現在の経営に合っていない可能性が高いです。

そのような状態で、いくら戦略を実行しようとしても、ほとんどうまくいきません。また、たとえその時はうまくいったとしても、砂上の楼閣のようなもので、常に指示を受けないと実行されず元に戻ってしまいます。

経営学者アルフレッド・D・チャンドラーJr.の有名な言葉に、「組織は戦略に従う」というものがあります。組織の「カタチ」は、戦略に応じて決めなければならないということです。

組織の「カタチ」だけ決めればすべてがうまくいくといものではありませんが、組織の「カタチ」は、戦略実行の前提条件とも言えます。

橋下市長が大阪都構想や道州制にこだわるのは、組織の「カタチ」の重要性を誰よりも強く認識しているからです。

御社で上に挙げたような問題が発生している場合は、一度組織の「カタチ」を見直してみるといいかと思います。

社会保険労務士事務所トリプルウィン

代表 樋野昌法


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